06.時間割





「んで、次が音楽」


満足そうに云い放った得意気な男を呆れで満ちた目で見つめる。
カラカラ車輪がゆっくり回る音に合わせて足も自然と遅くなる。
もうどっちが合わせてんのかはわかんねえけど。

「・・・お前、馬鹿だろ。なんで俺の時間割全部覚えてんだ」
「いや、忘れモンしたらかしてもらおうとか思って」
「アホか、誰がかすか!」
「そんな!せっかく覚えたのに!」
「その前に自分の覚えろ、ちったあ忘れもん減らせボケが!」
「そんな!」



ぴいびいわめく馬鹿を後ろに置いてすたすたと歩く。

「だってよー、自分の時間割覚えたってなんもいいことねえし」
「忘れもんしねえだろ」
「海堂に会えねえじゃん」
「部活で会える」
「それだけじゃ足りねぇな、足りねぇよ」


威張るな馬鹿。

暗くなった道を人工光が浮かび上げる。
間抜けに並んでエロ本よみながらマスかいてる男タチを横目に早足。
にくまん、とかなんとか暑いのに叫ぶ馬鹿はほっといて襟首をつかんでばさばさはたく。

暑い。

こんな夜になっても暑い。



「・・・明日行ったらかしてくれたり、なんて」
「絶対かさねー」
「そんな・・・!」

肩をおとす。
馬鹿だ馬鹿だと思ってたけどここまで馬鹿だとは思わなかった。
でも時間割わかんねーよ、とかほざく馬鹿にメィルで聞けよと返す。


「ガッコにケィタィわっけた・・・」
「いっぺん死ね」
「あー、一時間目なんだったかも覚えてねーよ・・・海堂のならわかんだけど。
理科」
「馬鹿」



本気でうなだれる馬鹿に救いの手。


「・・・・数学」
「おお、そうだったッ、んで次が国語で三時間目が・・・っと・・・」
「かてーか。次理科、社会。体育」
「そうだったそうだった。すげーな海堂、ってえ?」
「黙れ馬鹿」







05.09.08 up
04.08.24 完成

 

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